科学的介護推進体制加算は、介護サービスの質を向上させるために、科学的介護情報システム(LIFE)を活用し、PDCAサイクルを実践することが求められます。本記事では、現場での具体的な対応手順を解説します。
1.LIFE加算の概要
LIFEは、厚生労働省が推進する介護情報のデータベースです。
事業所は、利用者の状態・ケア内容をLIFEに提出することで、科学的な分析に基づくフィードバックを受け、サービスの質の向上が期待できます。
LIFE加算は、介護施設・事業所がLIFEにデータを提出し、提供されるフィードバックを活用して、サービスの質の向上を図ることを評価する加算です。具体的には、以下のような加算があります。
科学的介護推進体制加算(通所介護・特養・老健等)
ADL維持等加算(通所介護)
栄養改善加算、口腔機能向上加算
2.LIFE加算の流れ:現場でやるべきこと
STEP1|情報収集・アセスメント
フィジカル面・生活面など、既定の評価項目(例:Barthel Index、栄養スクリーニング、口腔アセスメント)を評価・記録します。
例:科学的介護推進体制加算では、月1回以上の評価入力が必要。
STEP2|LIFEにデータ提出(CSV形式)
事業所のソフト(ケア記録・アセスメントソフト)からCSV形式でデータを出力し、LIFEポータルにアップロードします。
提出頻度:原則毎月(評価項目による)
提出担当:管理者、看護師、リーダー職が主に対応
STEP3|フィードバックの受領と活用
LIFE側で集計された結果がフィードバックとして返されます(例:ADL変化、口腔機能維持率など)。
フィードバックは「事業所単位」「個人単位」で確認可能。活用の工夫が求められます。
3.LIFE加算の“現場への落とし込み方”
● ケア記録との連動が鍵
記録とLIFE提出項目が一致していないと、提出自体が困難になります。SOAP記録やバイタル記録と日常の介護記録の整合性を意識しましょう。
SOAP記録に関する記事はこちら 介護記録は“こう書く”が正解!― 現場で使える記録文例と注意点、SOAPの基本から加算対応まで ―
● チーム全体で共有
「提出は管理者の仕事」ではなく、日常的な観察・記録がデータ提出の土台です。記録内容の根拠や目的をチームで共有し、質の高い記録を支えましょう。
4.PDCAサイクルの実践
LIFE加算は、単なる記録業務や加算取得にとどまらず、「データを起点としたサービス改善のサイクルを回す」ことが本質です。LIFEのフィードバックを受けたあとは、以下のようなPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを確実に運用することが求められます。
■ Plan(計画):フィードバックから課題を特定
LIFEから返却されるフィードバック(例:ADL維持率の推移や口腔ケアの実施率など)をもとに、現場のケアで改善すべき点を明確化します。例えば「口腔ケアの実施率が全国平均を下回っている」場合、それを課題として捉え、対応計画(例:実施記録の標準化、業務分担の見直しなど)を立案します。
■ Do(実行):改善に向けた具体的取り組みを始動
立案した計画に基づき、現場での取り組みを開始します。たとえば「食後5分以内の口腔ケア実施」や「移乗時の声かけ頻度向上」など、スタッフ全体でルールやアクションを共有し、業務に反映させます。ここでは記録様式やシフト連携の整備も重要な要素になります。
■ Check(評価):結果を振り返り、効果を数値で把握
一定期間実施した後、その取り組みの成果を再評価します。たとえば「ケア記録から実施率の推移を抽出する」「フィードバック再提出後の指標改善を見る」など、見える化されたデータを用いて評価します。現場での手応えだけでなく、LIFEの再フィードバックも評価指標になります。
■ Act(改善):評価結果をもとに次の一手を講じる
改善が進んでいれば取り組みを継続・定着させ、効果が乏しければ要因を分析し、対応策を再設計します。ここで重要なのは「加算取得のためだけ」ではなく、「利用者の生活の質の向上」という原点に立ち返る視点です。
5.まとめ:LIFE加算は“取り組みの質”が問われる時代へ
科学的介護推進体制加算の導入により、介護現場には「記録と実践が結びついているか」「フィードバックを活かしているか」という観点での質的評価が導入されました。LIFEへのデータ提出は出発点にすぎず、そこから得られる情報をどのように現場で活用し、実際のサービス改善に結びつけるかが加算の本質です。
このようにPDCAサイクルを確実に回すことは、単なる加算取得だけでなく、職員の学びや介護の質の底上げ、さらには利用者のQOL向上につながります。
(参考資料:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」)
![]() | 監修: 山口開渡 先生 |

