なぜ「介護×特殊詐欺対策」が重要か?
高齢者の被害に対する脆弱性
警察庁の統計によると令和5年中の特殊詐欺被害者のうち、約78.4%が65歳以上の高齢者です。 警察庁「令和5年における特殊詐欺の検挙状況等について」 認知機能の低下(軽度認知障害MCIや認知症)により、「判断力・記憶力・注意力」が低下した高齢者は詐欺の標的となりやすいです。特に以下の特性が詐欺被害リスクを高めるとされています: 高齢者の消費者トラブルにおける 認知機能障害の影響と対応策
・「見知らぬ人の言葉を疑わず信じる傾向」
・「相手を喜ばせたいという心理」
・「社会的孤立感や不安感からの依存性」
「詐欺予防の鍵」としての介護者
在宅・施設問わず、介護現場では金銭管理や口座確認、スマートフォンの補助などの場面で高齢者の意思決定や行動に介入する機会が多いです。従って、介護者が異変に早く気づき、対応すれば詐欺を未然に防げるという構造があります。また、介護施設の入所者・利用者も無関係ではなく、通話・訪問型詐欺に巻き込まれることがあります。訪問介護のみならず、施設介護においても対策は必要です。 内閣府「令和4年版 高齢社会白書」第2章第1節(高齢者の生活の特徴)
介護現場でできる具体的な対策
■【在宅介護】
ケアマネ・ヘルパーが定期訪問時に郵便物や通話履歴を確認する
高齢者への声かけ:「ATMで困っていることない?」「誰かにお金の話された?」「怪しい電話なかった?」など日々の会話で状況を確認する
利用者が「今日ATMに行きたい」と言った際は背景を確認し、記録する
■【訪問介護】
自室の電話に録音機能・留守番電話設定・ナンバーディスプレイ*を導入する
職員向け研修で詐欺の最新手口アップデート&緊急対応マニュアルの共有を行う
外部者が来訪した際には身分証確認・職員帯同を徹底し、訪問型詐欺の被害を抑える
定期的な家族確認、意思確認のもとで金銭管理、口座管理を行う。
*ナンバーディスプレイ:電話をかけてきた相手の電話番号を固定電話機に表示させられる機能のことです。海外からの電話を番号で認識できるため、海外からの詐欺電話を避けることができます。
■【施設介護】
面会時、訪問時にパンフレット等で家族にも注意喚起を行い、連携して対処する
利用者の異変に気付いた際に即座に通報する制度を整える
「何かあったらヘルパーさん/職員さんに相談してね」と心理的な依頼先を用意する。
まとめ:介護の力で詐欺を防ぐ社会へ
高齢者の詐欺被害は、単なる経済的損失にとどまらず、「自信喪失」や「信頼関係の破壊」をもたらす重要な問題です。介護は単に「身体のケア」ではなく、「その人の暮らしを守る仕事」です。その意味で、特殊詐欺という現代的なリスクに対し、介護の現場からできることは数多く存在します。高齢者を“騙されない人”にするために、介護の視点から支える――。
それは、信頼を築くケアの延長にこそある、もっとも現実的な防犯策なのです。
