介護現場のAI仕事術

#02 話し言葉をきれいな文章に整える | 介護現場のAI仕事術

・難易度:★

・所要時間:約10分

・使うツール:ChatGPT(無料版でOK)


申し送りの「ざっくりメモ」、誰かに伝わっていますか?

口頭で話したことは消える。メモした内容は読めない。

介護現場の申し送りや引き継ぎは、毎日そのぎりぎりのラインで回っています。「とりあえず伝わればいい」。その積み重ねが、ある日ヒヤリハットに繋がることもあります。

でも現実問題、丁寧な記録を書く時間はない。スマホに音声メモを残すのが精一杯、という方も多いはずです。

今日覚えるのは、話し言葉やざっくりメモをChatGPTに渡して、きれいな文章に整えてもらう技術です。


ChatGPTに「整える」をお願いする

第1回で「要約する」を覚えました。今回は少し違う使い方です。

要約は「長いものを短くする」。今回の「整える」は、素材はそのままに、読みやすい形に変換する作業です。プロンプトの考え方も変わります。


実際の手順

ステップ1|整えたい文章やメモを用意する

以下のようなものがそのまま使えます:

  • ・口頭で話した申し送りの内容をそのまま打ち込んだもの

  • ・スマホの音声メモを文字起こしした粗いテキスト

  • ・箇条書きのメモ、走り書き

ステップ2|ChatGPTに貼り付けて指示する

今回は「誰向けに」「どんな形式で」という指定が重要になります。

ステップ3|送信して確認する


プロンプトは「育てる」もの。3段階で試してみよう

ここが今日の一番のポイントです。

ChatGPTに何かを頼むとき、指示の書き方によって返ってくる結果がまったく変わります。最初から完璧な指示を書く必要はありません。短く始めて、少しずつ付け足していく。それがコツです。

今回使うサンプルの走り書きはこちらです:

Aさん 昨夜から食欲なし 朝も半分しか食べず 水分は取れてる 体温36.8 本人は眠そうで元気なさそう 家族には今日連絡する予定

※返答例はイメージです。実際の出力は毎回異なります。

Lv.1|まずそのまま渡してみる

【指示文(プロンプト)】

「以下を読みやすい文章に整えてください」

ChatGPTの返答例:

Aさんは昨夜から食欲がなく、本日の朝食も半分程度の摂取にとどまっています。水分は摂取できており、体温は36.8℃です。本人は眠そうで、全体的に元気がない様子が見られます。なお、ご家族へは本日中に連絡する予定です。

文章になりました。でも「誰が読むか」によって、もう少し調整できます。

Lv.2|読む相手を指定する

【指示文(プロンプト)】

「以下を、次のシフトのスタッフが読む申し送り記録として整えてください」

ChatGPTの返答例:

申し送り(Aさん)

昨夜より食欲低下あり。本日朝食は半分程度の摂取。水分摂取は可能。体温36.8℃。傾眠傾向あり、全体的に活気低下がみられる。本日中にご家族へ連絡予定。

※食事・水分摂取量と覚醒状況の継続観察をお願いします。

「次シフトのスタッフへ」という文脈が加わることで、最後の一文が自然に生まれました。

Lv.3|形式と注意点を指定する

【指示文(プロンプト)】

「以下を申し送り記録として整えてください」
・です・ます調で
・「様子」「状態」など介護記録らしい言葉を使って
・個人名はそのまま使わず「ご本人」に統一して

ChatGPTの返答例:

申し送り

ご本人は昨夜より食欲低下が認められる状態です。本日の朝食は半量程度の摂取状況となっております。水分摂取は可能な様子です。体温は36.8℃で推移しております。傾眠傾向がみられ、全体的に活気が乏しい状態です。なお、ご家族へは本日中に連絡予定となっております。

※引き続き、食事・水分摂取量および覚醒状況の観察をお願いいたします。

同じ素材から、施設の記録としてそのまま使えるレベルに仕上がりました。


個人情報の取り扱いに注意

【必ず守ってほしいルール】

利用者の氏名・生年月日・住所など、個人を特定できる情報をChatGPTに入力しないこと。

上の例では「Aさん」としています。実際に使うときも、氏名はイニシャルや「ご本人」に置き換えてから貼り付けましょう。Lv.3の指示のように「個人名は使わず」と指示文に含めてしまうのも有効な方法です。


この技術、こんな場面で使えます

1. 申し送り・引き継ぎ記録の清書

音声メモや走り書きをそのまま渡すだけで、読みやすい申し送り文に変換できます。「次のスタッフが読む前提で」と指定するのがポイントです。

2. ヒヤリハット報告書の下書き

「何があったか」を箇条書きで渡して「ヒヤリハット報告書として整えて」と指示するだけで、報告書の体裁が整います。記録に苦手意識のあるスタッフへの支援にも使えます。

3. 業務日誌・ケース記録の文章化

「今日やったこと」を箇条書きで渡して「ケース記録として整えて」と指示すれば、日々の記録業務の時間を大幅に短縮できます。

4. 口頭説明の文書化

会議やカンファレンスで口頭で説明した内容を文章化したいときにも使えます。話したことを文字にしてChatGPTに渡すだけです。


【きょうの10分】

今日書いた(または書こうとしていた)申し送りや記録のメモを一つ選んで、ChatGPTに「申し送り記録として整えてください」と一言添えて貼り付けてみてください。

Lv.1から始めて、返ってきた文章を見ながら「もう少し〇〇な感じで」と付け足していく。それだけで、今日学んだことはすべて体験できます。


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