#10 複数の記録を丸ごと渡してアセスメントの下書きを作る | 介護現場のAI仕事術

・難易度:★★

・所要時間:約15分

・使うツール:Claude(無料版でOK)


複数の記録をまとめる作業、時間がかかっていませんか?

アセスメントを書くとき、過去数回分のケース記録を読み返しながら、変化の流れをまとめる。それだけで30分、1時間とかかることがあります。

記録は残っている。変化もわかっている。でもそれを文章にまとめる作業がひたすら手間。

そんな経験はありませんか。

今日覚えるのは、複数回分のケース記録をそのままClaudeに渡して、アセスメントの下書きを生成する方法です。


今回はなぜChatGPTではなくClaudeなの?

第1回からずっとChatGPTを使ってきました。

今回初めてClaudeという別のAIが登場します。

ChatGPTもClaudeも、どちらも優れたAIです。ただ、得意なことに少し違いがあります。

Claudeは長い文書や複数の情報をまとめて処理することが得意です。今回のように「3回分のケース記録をまとめてアセスメントに」という使い方では、Claudeの方がまとまりのある文章を生成しやすい傾向があります。

道具は目的に合わせて選ぶ。それがAI活用の基本です。


Claudeの使い方

ブラウザで claude.ai にアクセスして、Googleアカウントでログインするだけで使えます。

ChatGPTと同じように、テキストを貼り付けて指示を送る形で操作します。

https://claude.ai


実際の手順

ステップ1|使いたいケース記録を集める

直近2〜4回分のケース記録、申し送りメモ、観察記録など、テキスト化されているものを準備します。第6回で覚えた文字起こし技術で音声メモをテキスト化したものも使えます。

ステップ2|Claudeに記録をまとめて貼り付けて指示する

複数回分の記録を一度にコピーしてClaudeの入力欄に貼り付け、指示文を添えて送信します。

ステップ3|下書きを確認して加筆修正する

生成されたアセスメントの下書きを確認し、実際の状況に合わせて加筆・修正します。

AIの出力はあくまで下書きです。

最終的な判断と記述は必ず担当者が行ってください。


プロンプトは「育てる」もの。3段階で試してみよう

今回使うサンプルのケース記録はこちらです。Hさん(82歳・女性・要介護2)の直近3回分です。

【第1回記録 4月8日(火)】

体温36.4℃、血圧128/74mmHg。バイタル安定。送迎時、玄関での立ち上がりはスムーズ。「今日は体が軽い」と笑顔で話す。午前中の体操に積極的に参加し、輪投げでは3回連続成功して周囲から拍手を受けていた。昼食は全量摂取。左手の使いにくさを補いながら、自分でスプーンを使って食べていた。午後は折り紙に取り組み、鶴を1羽完成させた。帰宅時「また来ます」と元気に挨拶。特記事項なし。

【第2回記録 4月11日(金)】

体温36.6℃、血圧134/80mmHg。送迎時「左の膝がちょっと痛くてね」と訴えあり。歩行時に左膝をかばうような動きが見られ、いつもより歩行速度がやや低下。体操は着席のまま参加。午前中は他の利用者との会話を楽しんでいたが、立位時に一度よろつく場面があり、スタッフが介助。本人は「大丈夫、大丈夫」と笑って流していた。昼食は8割摂取。「膝が痛いとなんだか食欲もなくて」とのこと。帰宅前に担当スタッフより長女(遠方在住)へ電話連絡。長女より「先月も同じことを言っていた、様子を見てほしい」とのこと。

【第3回記録 4月15日(火)】

体温36.5℃、血圧138/82mmHg。送迎時「膝の痛みは続いている」とのこと。歩行時の左膝かばい動作が継続。廊下歩行中に左足が一瞬もつれる場面があり、スタッフが素早く支えて転倒回避。本人はその後「怖かった」と少し表情が曇る。体操は着席参加。食事は全量摂取で食欲は戻っている。午後のレク中に「家に帰ったとき、夜にトイレに行くのが怖い」と話す。夜間トイレ時の転倒リスクについて本人も不安を感じている様子。帰宅後、ケアマネジャーへ状況報告。福祉用具(手すり)の検討を開始することで合意。次回訪問介護時にも歩行状況を確認予定。


※返答例はイメージです。実際の出力は毎回異なります。

Lv.1|記録の内容をまとめてもらう

【指示文(プロンプト)】

「以下の3回分のケース記録を読んで、この利用者の最近の状態の変化をまとめてください」

Claudeの返答例:

利用者の状態変化まとめ(4月8日→15日)

身体面

4月8日時点ではバイタル安定・立ち上がりスムーズ・体操に積極参加と状態は良好でした。しかし4月11日から左膝の痛みが出現し、歩行速度の低下とかばい動作が見られるようになっています。長女によれば「先月も同じことを言っていた」とのことで、慢性的な問題の再燃の可能性があります。4月15日には廊下歩行中に左足がもつれてスタッフが支える場面があり、転倒リスクが高まっています。

食事・活動面

4月11日に食欲低下(8割摂取)が見られましたが、4月15日には全量摂取に戻っています。体操は11日以降、着席参加に切り替わっています。

心理面

4月8日は「体が軽い」と笑顔で過ごしていましたが、4月15日には転倒しそうになった後「怖かった」と表情が曇り、夜間トイレ時の転倒不安も自ら口にするようになっています。身体的な不安定さが心理面にも影響している様子です。

対応の動き

ケアマネジャーへの状況報告と福祉用具(手すり)の検討が開始されており、次回訪問介護時の歩行確認も予定されています。


要注意点として、8日から15日のわずか1週間で「快調」から「転倒リスクあり・夜間不安」へと変化が急であること、長女が遠方在住で直接確認できないことから、次回デイ利用時の歩行評価と手すり導入の早期実現が優先課題と思われます。

3回分の記録から変化の流れが整理されました。

Lv.2|アセスメントの下書きとして整えてもらう

【指示文(プロンプト)】

「以下の3回分のケース記録をもとに、介護アセスメントの『現在の状況』欄の下書きを作ってください。です・ます調で、専門用語を適切に使って」

Claudeの返答例:

介護アセスメント「現在の状況」欄 下書き

本人は在宅生活を継続しており、週複数回のデイサービスを利用中です。長女は遠方在住のため、日常的な見守りは主にデイサービスおよび訪問介護が担っています。

身体機能・移動動作 左膝に疼痛があり、歩行時にかばい動作が見られます。歩行速度の低下と立位時のふらつきが確認されており、4月15日には廊下歩行中に左足のもつれによるニアミス転倒が発生、スタッフが支えることで転倒は回避しました。体操参加は着席での参加に変更しています。なお4月8日時点では「体が軽い」と発言するなど状態が良好な日もあり、日によって変動がある可能性があります。

ADL・食事摂取 食事は自力摂取が可能で、左手の使いにくさをスプーン使用にて補完しています。膝痛が強い日には食欲低下(8割摂取)が見られましたが、その後全量摂取に回復しています。

認知・精神・心理面 会話は良好で、他の利用者との交流も積極的に行っています。一方、転倒ニアミス以降は「怖かった」と表情が曇る場面があり、夜間のトイレ移動に対する恐怖感を自ら言語化しています。転倒への恐怖感から活動範囲が縮小するリスクがあり、心理面への配慮が必要な状態です。

在宅環境・リスク管理 夜間のトイレ移動時における転倒リスクが高まっており、本人も不安を訴えています。ケアマネジャーと連携し、福祉用具(手すり)の導入検討を開始しています。次回訪問介護時に歩行状況を再確認する予定です。

記録の情報がアセスメントとして整理されました。担当者の判断で加筆・修正してご使用ください。

Lv.3|課題と支援方針まで含めて生成する

【指示文(プロンプト)】

「以下の3回分のケース記録をもとに、介護アセスメントの下書きを作ってください。」
・「現在の状況」:です・ます調で、専門用語を適切に使って
・「生活上の課題」:箇条書きで3点以内に絞って
・「支援の方向性」:具体的な対応を箇条書きで

Claudeの返答例:

現在の状況

本人は在宅生活を継続しており、デイサービスおよび訪問介護を利用しています。長女は遠方在住のため、日常的な見守りはサービス事業者が主に担っています。

左膝に疼痛があり、歩行時のかばい動作と歩行速度の低下が見られます。4月15日には廊下歩行中に左足がもつれるニアミス転倒が発生し、スタッフの介助により転倒を回避しました。体操への参加は着席に変更しています。食事は自力摂取が可能で、左手の使いにくさをスプーン使用で補完しています。膝痛が強い日には食欲低下が見られましたが、現在は回復しています。

会話・他者交流は良好ですが、転倒ニアミス以降は不安感の表出が見られ、夜間のトイレ移動への恐怖を自ら言語化しています。転倒への恐怖感による活動縮小(廃用症候群)のリスクがあり、心理面への継続的な配慮が必要な状態です。


生活上の課題

  • 左膝疼痛に伴う歩行不安定があり、特に夜間のトイレ移動時に転倒リスクが高い

  • 転倒への恐怖感から活動意欲が低下し、廃用症候群へ移行するリスクがある

  • 長女が遠方在住のため緊急時の対応に時間を要し、家族との情報共有体制の強化が必要である


支援の方向性

  • 福祉用具(手すり)の導入に向けてケアマネジャーと連携し、居宅内(特にトイレ周辺・廊下)への設置を早期に進める

  • 訪問介護時に歩行状況を定期的に確認し、転倒リスクの変化をケアマネジャーへ速やかに報告する

  • デイサービスでの体操・レクリエーションは着席参加を継続しながら、本人の意欲を損なわないよう声かけと肯定的な関わりを心がける

  • 長女へ状態変化時の連絡フローをあらかじめ確認し、情報共有を継続的に行う

3回分の記録から、そのまま提出に近いレベルのアセスメント下書きが完成しました。


個人情報の取り扱いに注意

【必ず守ってほしいルール】

実際のケース記録をClaudeに貼り付ける際は、利用者の氏名・生年月日・住所など個人を特定できる情報をイニシャルや「Hさん」に置き換えてから使用してください。

また、外部サービスへの情報入力は施設のルールや個人情報保護方針を確認した上で行ってください。


この技術、こんな場面で使えます

1. 定期アセスメントの下書き作成

月次や四半期ごとのアセスメント更新時に、直近の記録をまとめて渡すだけで下書きが完成します。記録を読み返しながらゼロから書く時間が大幅に短縮されます。

2. サービス担当者会議の資料準備

会議前に複数の記録をClaudeに渡して「担当者会議の報告用に現状をまとめて」と指示すると、報告資料の下書きが作れます。

3. 引き継ぎ資料の作成

担当者交代時に、過去の記録をまとめてClaudeに渡し「新しい担当者向けの引き継ぎ資料として整理して」と指示すると、経緯と現状がわかりやすくまとまった資料が生成されます。

4. 家族への状況説明文

複数回分の記録を渡して「ご家族向けにわかりやすく、専門用語を使わずに状況をまとめて」と指示すると、面談前の説明文の下書きとして使えます。


【きょうの10分】

直近2〜3回分のケース記録を一つ選んで、個人が特定できる情報を置き換えてからClaudeに貼り付けてみてください。まずは「この記録を読んで、最近の変化をまとめてください」と一言送るだけで十分です。

https://claude.ai


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