#12 個人情報を守りながらAIを使う | 介護現場のAI仕事術

・難易度:★★

・所要時間:約10分

・使うツール:共通(ChatGPT・Claude・Gemini など)


便利に使いたい。でも、これって大丈夫なの?

第1回から第11回まで、さまざまなAIの使い方を紹介してきました。使い続けるうちに、こんな疑問が浮かんできた方もいるかもしれません。

「利用者さんの記録を貼り付けても大丈夫なの?」
「入力した内容がAIの学習に使われるって聞いたけど、どういうこと?」
「施設長に確認した方がいい?」

便利なものほど、リスクも考えておく必要があります。今日は立ち止まって、AIと個人情報の関係を整理しましょう。


まず知っておきたい:入力した内容はどこへ行く?

ChatGPTやClaudeなどのAIサービスに文章を入力すると、そのデータはサービス提供会社のサーバーに送信されます。
多くのサービスでは「入力データをAIの学習に使用する場合がある」という規約になっています。
ただし設定や契約プランによって異なり、たとえばChatGPTは設定でオフにすることができます。
重要なのは、「外部のサーバーに送信される」という事実を理解した上で使うことです。


入力してはいけない情報

介護現場でAIを使う際に、外部サービスへの入力を避けるべき情報を整理しておきます。

必ず避けるべき情報

  • ・利用者の氏名・生年月日・住所・電話番号
    ・要介護認定番号・被保険者番号
    ・医療情報(病名・投薬内容・診断結果)
    ・家族の個人情報(氏名・連絡先など)

施設のルールを確認した上で判断すべき情報

  • ・利用者の状態・行動に関する記録(匿名化すれば使いやすくなる)
    ・施設名・事業所名
    ・経営に関わる数値・契約情報


匿名化するとここまで変わる

「個人情報を避けると、AIに渡せる情報が少なくなってしまうのでは」と思うかもしれません。

でも実際には、氏名や住所がなくても、AIは十分に機能します。

匿名化の前:

・田中花子さん(83歳)は昨日、〇〇デイサービスで昼食中にむせ込みがあり…

匿名化の後:

・Hさん(80代・女性)は昨日、昼食中にむせ込みがあり…

この程度の置き換えで、AIへの指示には何の支障もありません。むしろ「Hさん」で統一することで、AIが文中の人物を混乱なく処理しやすくなります。


匿名化の実践ルール

氏名の置き換え

イニシャル(「田中→T.さん」)か、「Hさん」「Aさん」のようなアルファベット+「さん」に統一します。

施設名の置き換え

「〇〇デイサービス」→「当施設」または省略。

日付の扱い

具体的な日付は必要なければ「先週」「今月」などに置き換えられます。ただし時系列が重要な場合(第10回のアセスメント作成など)は「4月8日」のような日付は残しても問題ありません。

地名・住所

都道府県レベルも避けるのが無難です。「在宅独居」などの表現で代替できます。


施設ルールとの付き合い方

AIの利用に関するルールは、施設ごとに異なります。現時点でルールが整備されていない施設も多いですが、だからといって「禁止されていないからOK」とは言い切れません。

確認しておきたいこと

  • ・外部クラウドサービスへの情報入力に関する規定があるか
    ・個人情報保護方針でAI利用についての記載があるか
    ・上司や管理者がAI利用についてどう考えているか
    ・判断に迷う場合は、上司や施設長に「こういう使い方をしたいのですが大丈夫ですか」と一言確認するのが最善です。その際、「個人情報は匿名化した上で使います」と伝えると、理解を得やすくなります。


安心して使い続けるための3つの習慣

1. 入力前に一度見直す
ChatGPTやClaudeに貼り付ける前に、個人を特定できる情報が含まれていないか確認する習慣をつけましょう。10秒の確認で大きなリスクを防げます。

2. 用途に応じてツールを選ぶ
機密性の高い内容には外部サービスを使わない。事務作業や文書の清書など、個人情報を含まない用途に絞ってAIを使う。この線引きを自分なりに決めておきましょう。

3. 施設のルールが整備されるのを待つより、提案する
「こういうルールがあれば安心してAIを使えます」と上司に提案することも一つの選択肢です。現場からのボトムアップで施設のAI活用ガイドラインが整備されていくことは、職場全体にとってプラスになります。


この連載で実践してきたことの振り返り

第1回から第11回まで、各回で個人情報への配慮を呼びかけてきました。改めて整理すると:

  • ・氏名は「Aさん」「Fさん」などに置き換えた
    ・施設名・地名は含めなかった
    ・外部サービスへのアップロード前に確認を促した
    ・機密性の高い会議録には外部サービスを使わないことを明示した

この連載で紹介してきた使い方は、すべてこの原則に沿っています。今後も同じ考え方で続けていきましょう。


【きょうの10分】

今日これまでに使ったAIのやり取りを一つ振り返ってみてください。個人情報が含まれていなかったか、匿名化できていたか。確認するだけでOKです。

もし「これは入れすぎたかも」と感じるものがあれば、次からの習慣を変えるきっかけにしてください。


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