#18 AIを思考の相棒にする | 介護現場のAI仕事術
・難易度:★★★
・所要時間:約15分
・使うツール:ChatGPT(無料・有料どちらでも可)
「ChatGPTってどんなことができますか?」と聞かれたとき、多くの方が「文章を作ってもらえる」と答えます。
それは正しい。でも、それだけではありません。
この連載の1か月目で身につけた技術は、どれも「AIに何かを作ってもらう」使い方でした。
文章を整える、要約する、記録を加工する。
第2か月目のテーマは、その一歩先です。
AIに「一緒に考えて」もらいましょう。
「答えをもらう」と「一緒に考える」の違い
・答えをもらう使い方: 「〇〇の件について、どう対応すればいいですか?」
・一緒に考える使い方: 「〇〇の件について、私はこう考えているんですが、見落としや別の視点があれば教えてください。」
違いは小さく見えて、得られるものがまったく違います。
前者はAIが主役で、あなたはその回答を受け取るだけです。
後者はあなたが主役で、AIは思考を深めるための鏡として機能します。
この回でやること
・自分の考えをAIにぶつけて「穴」を探してもらう
・困難事例の整理に壁打ちを使う
・サービス担当者会議などのカンファレンス前の頭の整理に使う
※返答例はイメージです。実際の出力は毎回異なります。
Lv.1 自分の考えをAIにぶつけて「穴」を探してもらう
まず基本の型から始めます。
壁打ちで使いやすいプロンプトの構造は、次の3つの要素で成り立っています。
①状況を説明する
②自分の考えを述べる
③問いを立てる
たとえば、こんな場面で使えます。
「夜間の見守り体制を変えようと思っています。現状は2時間おきの巡視ですが、転倒リスクの高い利用者が増えてきたため、1時間おきに変更しようと考えています。この判断で見落としている点や、別の選択肢があれば教えてください。」
返答イメージ(スクリーンショット):
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「なるほど、確かに夜勤スタッフの負担を考えていなかった」という気づきが生まれます。
AIは答えを出したのではなく、考えるための視点を補ってくれたのです。
【ヒント】「見落としを教えてください」「別の視点があれば」という問い方が壁打ちの鍵です。「どうすればいいですか?」だと答えをもらう使い方になってしまいます。
Lv.2 困難事例の整理に使う
「この利用者さんへの対応、なんとなく違和感があるけど言語化できない」
という経験はありませんか。
そういうときに壁打ちが効きます。
ポイントは、具体的な個人情報を入れずに状況を構造化して伝えることです。
「80代の男性利用者で、最近食事量が落ちています。医療的には問題ないと言われていますが、現場としては何か気になっています。家族は『本人が好きなものを食べさせてほしい』と言い、施設の栄養管理の方針とぶつかっています。私はどちらの立場を優先すべきか悩んでいます。どんな観点で整理すればいいですか?」
返答イメージ(スクリーンショット):
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どの軸から整理を始めてみますか?
AIは「答え」を出していません。「どう考えればいいか」の枠組みを出してくれています。
これが壁打ちの本質的な使い方です。
【注意】実際の利用者名、家族名、施設名などの個人情報は入力しないでください。状況を抽象化して伝えるだけで、十分な壁打ちができます。
Lv.3 カンファレンス前の頭の整理に使う
ケアカンファレンスや担当者会議の前に、自分の考えを整理しておきたいときにも壁打ちが使えます。
「来週のケアカンファレンスで、認知症が進行している利用者の今後のケア方針を話し合います。私の立場としては、本人の残存機能を活かしたリハビリを続けるべきだと思っていますが、家族は在宅復帰を希望しており、現実的に難しい状況です。会議で私が準備しておくべき論点や、想定される反論を教えてください。」
返答イメージ:
会議に向けて準備しておくとよい論点をいくつか挙げます。 【あなたの主張を支える材料】 【家族側の反論への備え】 【会議を前向きに進めるための問い】 |
「想定される反論」を事前に整理しておくことで、会議の場で慌てずに対話できます。
まとめ
壁打ち上手は、問いの立て方が上手です。
「どうすればいいですか?」ではなく「見落としはありますか?」
・答えをもらうのではなく、考える材料をもらう
・個人情報を外して状況を構造化して伝える
AIを「答えをくれる機械」として使うのと、「一緒に考えてくれる相棒」として使うのとでは、業務の質が変わってきます。
最初は少し慣れが必要ですが、使い続けるほど思考の深さが増していきます。
【きょうの15分】
今日「なんとなく気になっていること」や「判断に迷っていること」を一つ思い浮かべてください。
状況を3〜4行で書いて、「私はこう考えているのですが、見落としや別の視点があれば教えてください」と付け加えてChatGPTに送ってみましょう。
答えではなく、問いが返ってくる感覚を体験してみてください。
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