#32 シフトの下書きをAIに作らせる | 介護現場のAI仕事術
・難易度:★★
・所要時間:約20分
・使うツール:ChatGPT(無料・有料どちらでも可)
シフト作成は、管理者・主任にとって毎月の大仕事です。
スタッフの希望休を集めて、人員配置基準を満たして、ベテランと新人のバランスを考えて。頭の中でたくさんのことを同時に考えながら作っています。
AIにシフトを作らせると、最初はうまくいきません。
「そうじゃないんだよな」という場面が必ず出てきます。でもその「そうじゃない」を言葉にしてAIに伝えていく過程で、自分でも気づいていなかったルールが整理されていきます。
この回でやること
1. まずざっくり指示して下書きを作ってもらう
2. 「そうじゃない」を追加して修正する
3. さらに細かい条件を追加して現実に近づける
※返答例はイメージです。実際の出力は毎回異なります。
Lv.1 まずざっくり指示して下書きを作ってもらう
最初から全部の条件を整理しなくて構いません。まずざっくり渡してみます。
「デイケアの来週のシフト表を作ってください。スタッフは8名(主任1・ベテラン1・中堅3・新人3)です。早番・日勤・遅番の3交代で、月曜から土曜の6日間営業です。」
AIはとりあえずシフトの下書きを出してくれます。でもこれを見ると、「あれ、これじゃない」という部分が必ず出てきます。
よくある「そうじゃない」:
・土曜日に6名全員入れてきた
・新人が一人で早番に入っている
・早番の翌日に遅番が入っているこれが出てきたら、「そうじゃない」を言葉にするフェーズに入ります。
Lv.2 「そうじゃない」を追加して修正する
気になった部分を一つずつ追加で指示します。
・「土曜日は少人数でいい:」 「土曜日は日勤2名だけにしてください。」
・「新人を一人にしない:」 「新人は必ず主任かベテランと勤務時間が重なるシフトに入れてください。」
・「早番→遅番はつらい:」 「早番の翌日に遅番が入らないようにしてください。」
一つ指示するたびにシフトが修正されます。「まだここが違う」と感じたら、また言葉にして追加します。
【ヒント】「〇〇してください」より「〇〇の条件を守りながら、△△を変えてください」と伝えると、他の部分を崩さずに修正してくれます。
Lv.3 さらに細かい条件を追加して現実に近づける
修正を繰り返すうちに、自分でも言語化したことがなかったルールが出てきます。
・「そういえばAさん(主任)は水曜に希望休が多い」
・「Bさん(ベテラン)は金曜を避けてほしいと言っていた」
・「新人のEさんは土曜希望休が多い」
これを追加で渡します:
「以下の希望休も反映してください。
・Aさん(主任):水曜希望休
・Bさん(ベテラン):金曜希望休
・Gさん(新人):土曜希望休
・Hさん(新人):木曜希望休」
さらに週の労働時間の条件も:
「週の労働時間が40時間を超えないようにしてください。」
こうして条件を積み上げていくと、最終的にはこういうシフトの下書きができあがります:
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
A(主任) | 日勤 | 早番 | 休 | 日勤 | 日勤 | 日勤 |
B(ベテラン) | 日勤 | 日勤 | 遅番 | 日勤 | 休 | 日勤 |
C(中堅) | 休 | 遅番 | 日勤 | 早番 | 日勤 | 休 |
D(中堅) | 早番 | 日勤 | 日勤 | 日勤 | 遅番 | 休 |
E(新人) | 日勤 | 日勤 | 早番 | 日勤 | 日勤 | 休 |
F(新人) | 遅番 | 日勤 | 日勤 | 休 | 日勤 | 休 |
この作業の本当の価値
AIにシフトを作らせる過程で起きていることは、単なる「自動化」ではありません。
「土曜は2名でいい」「新人を一人にしない」「早番→遅番はつらい」。これらは管理者の頭の中にずっとあったルールです。でも文書化されておらず、毎回無意識に考えながらシフトを作っていた。
AIに伝えようとして初めて、それが言葉になります。
言葉になったルールはシフト作成の引き継ぎにも使えます。「うちの施設のシフトのルール」として蓄積していくことで、担当者が変わっても同じ基準でシフトが作れるようになります。
まとめ
・最初から全部の条件を整理しなくていい。ざっくり渡して「そうじゃない」を見つける
・「そうじゃない」を一つずつ言葉にして追加指示する
・この対話の過程で、頭の中の暗黙のルールが整理されていく
・言葉になったルールはシフト作成の引き継ぎ資料にもなるAIが作ったシフトはあくまで下書きです。法定人員基準の確認や、スタッフの体調・家庭事情など数字に表れない配慮は、現場を知っている管理者にしかできません。AIにたたき台を作らせて、管理者はその確認と調整に集中する。この役割分担で、シフト作成の負担を減らしましょう。
【きょうの20分】
来月のシフト作成が近ければ、「スタッフ人数・シフトの種類・営業日」だけをChatGPTに渡して、とりあえず下書きを作ってもらいましょう。「そうじゃない」が出てきたら、それを言葉にして追加指示してみてください。
この連載のほかの記事は、こちらからまとめてご覧いただけます。
