かつて3K(きつい・きたない・危険)という言葉があり、介護の仕事もこれに該当するといわれてきました。偏見をもつことを止める傾向から、今では面と向かっては言われませんが、未だにイメージをもっている人もいます。
しかも「介護はやろうと思えば誰にでもできる仕事」だといわれることもあります。果たして本当にそうなのでしょうか。
この記事では、
- 介護の仕事内容とプロ意識
- 介護が誰にでもできるわけではない理由と介護職の誇り
介護の仕事は自立支援を心がけている
食事・入浴・排泄ケアをまとめて「3大ケア」といわれることがあります。介護保険制度が始まるまでの介護業界では、この3大ケアをいかにしてこなしていくのかが介護職の腕のみせどころでした。「こなしていく」とは、利用者目線に立ったケアをすることではありません。できるだけ短時間で、できるだけ多くの利用者さんを「処理」していくのです。 しかし今は違います。3大ケアは当たり前に残っていますが「処理」をするのではなく利用者目線に立ったケアへとシフトしているのです。終の棲家と呼ばれる特養(特別養護老人ホーム)であっても、在宅復帰へ向けた自立支援を心がけるように、介護保険法では定められているほどです。 つまり介護の仕事内容を要約すれば「利用者本位の自立支援を行うこと」だといえます。介護のプロとは一人ひとりと向き合える人
利用者本位の自立支援介護を行うことは、決して素人ではできません。専門的な知識と技術、そして何よりも「チームケア」が必要だからです。在宅での家族介護は、施設のように交代要員がいないため本当に大変ですが、だからこそチームケアはできません。しかも看護職員などの医療職もいません。 介護のプロとは、利用者本位の自立支援を迷いながらも一所懸命に行っている人のことです。介護の方法には「完全なYes」はありません。例え同じ病気で、同じ後遺症が残っていたとしても、一人ひとり性格も、生い立ちも、生活歴も、家族関係も違います。万人に通じるような「この場合ならこのケア方法」はないのです。さらに関わるスタッフの性格や介護観によっても、ケアに違いがうまれます。ですから「完全なYes」はあり得ません。 ということは「利用者本位の自立支援は絶対にこれだ!という答えはない」ということになります。ですから、試行錯誤しながらも途中で投げ出すことなく、チームで利用者さん一人ひとりと向き合っている人のことを「介護のプロ」と呼ぶのです。なぜ“誰にでもできる”といわれるのか?
「介護なんて誰にでもできる」という言葉の裏には、大きく分けて次の2つの考えが含まれていることが多いものです。介護の仕事を軽くみている
このような人は、3大ケアを“処理”していた時代の介護職しか知らないのでしょう。自宅で介護している人もいるのだから特別なことではない、というのです。スタートが重要ではない
介護の仕事を「始める」のは、確かに誰でもできます。重要なのは仕事を続けるうちに介護の奥深さを知り、「介護のプロ」になるために、本当に自分にも続けられるかどうかを吟味していくことです。介護は誰にでもできる仕事ではない
わたしも、福祉の勉強や経験をしたこともなく介護業界に転職で飛び込んだ身です。何十年とこの世界にいる間に理解したことがあります。それは介護の仕事は「資格」なのではなく、結局のところ「思いやり」だということです。 介護の仕事は、次の過程の繰り返しです。- 目の前の利用者さんが抱えている障害や生活のしづらさをみて、心配する
- 解消するため、自分達に何ができるかをチームで真剣に考える
- 考えたことを実際の行動に移す
- チームで行動を振り返り、直すところは直して次へつなげる
